こどもの斜視弱視
斜視とは
About Squint斜視とは、目の位置の異常のことです。
通常、視線は両眼とも同じ場所に向かってそろっています。斜視は、右眼と左眼の視線が違う場所に向かっている状態です。
斜視があると両目で正しくものを見ることができなくなるため、立体感を感じにくくなったり、物が2つに見えたりする(複視:ふくし)状態を引き起こす場合があります。
また、複視を避けるために、ものを見る際に顔をまっすぐにせず首を傾けたり横に向けたりする、代償頭位(頭位異常)を取ることがあります。
ズレている方の視力の発達が妨げられてしまう(斜視弱視)こともあります。
弱視とは
About Weak sight弱視とは、目の病気が無いのに子供の視力の発育が、何らかの原因で妨げられてしまうことです。
生まれたばかりの赤ちゃんは、明るいか暗いかぐらいしか分かりません。外からの刺激を受けて、見る機能=視力は育っていきます。しかし、乳幼児期に何らかの原因で視力の発達が妨げられると、片眼または両眼の視力低下が起こり、メガネやコンタクトを使用しても視力が出ない状態になってしまいます。
この矯正視力自体が未発達の状態を、弱視(じゃくし)といいます。医学的には「視力の発達が障害されて起きた低視力」を指します。
当院の斜視弱視検査
Examination- 視能訓練士が常駐
- 当院では、国家資格を持った眼科専門の検査技師、視能訓練士が複数名在籍しており、弱視・斜視の検査を行っております。
初回の検査自体には通常外来と同じように予約の必要はなく、どのタイミングで来院して頂いてもすぐに検査を行えます。
視能訓練士が常に在院しており、検査が行える状況にあることは当院の特徴です。 - 斜視・弱視検査予約(治療通院中の患者様対象)
- 混雑した外来では待ち時間が長いため、検査の前にお子様が疲れてしまいます。
これを防ぐため、斜視・弱視治療通院中の患者様に対して、集中して検査を行えるようご予約をお取りします。
(初診でご予約をお取りすることはできないため、初めての患者様は一般外来でご来院ください)
予約枠として火曜と金曜の14時からをお取りしていますが、それ以外でも患者様のご予定に可能な限り合わせて予約をお取りしています。
お子様の急な体調変化に合わせお電話にての予約変更も承っておりますのでご安心ください。
こちら 0463-97-3533
斜視について
Squint detailsものを見るときには、通常両方の目が見ようとする目標物の方向に向いています。
ところが、片方の目が見ようとするもの目標物そのものを見ているにも関わらず、もう片方の目が目標と違う方向を向く場合があります。
これを斜視といいます。斜視はこどもの2%くらいにみられる病気です。
斜視の種類
斜視は、ずれている目の位置によって、内斜視(ないしゃし)・外斜視(がいしゃし)・上斜視(じょうしゃし)・下斜視(かしゃし)にわけられます。
-
通常の目
目はまっすぐ
-
内斜視
目が内を向いている
-
外斜視
目が外を向いている
-
上斜視
目が上を向いている
-
下斜視
目が下を向いている
内斜視で多いのは、「乳児内斜視」(生後6か月以内の発症で、角度が大きい内斜視) や「調節性内斜視」(遠視が原因で内斜視になるもの)と呼ばれるタイプです。
乳幼児の中には「偽斜視」と呼ばれるものもあります。見かけ上は視線がそれていて斜視のようにみえますが、実際には両眼の視線がそろっている状態を偽斜視といいます。とくに赤ちゃんの眼は内側に寄っているように見えます。フラッシュをたいてカメラ目線の写真を撮り、両眼の黒目のなかの同じ位置にフラッシュの反射光が確認できれば偽斜視の可能性が高いです。
外斜視で多いのは、ぼんやりしているときにだけ目がずれる「間欠性外斜視」と呼ばれるタイプです。
斜視の原因
乳児~小児期に見つかる斜視の多くは原因不明ですが、原因として挙げられるものには以下があります。
1. 目の筋肉や神経などによる異常
目を動かす筋肉や神経にわずかの異常があると、目の位置がずれ、両目が一緒に正しくものを見ることができず、斜視となります。
2. 遠視
目はものを見るときに、目標物そのものにピントあわせを行います。近くを見るときには、目は内側に寄ります。遠視では、ピント合わせを行わないとはっきりと見えないため、遠視の程度によっては、ピント合わせが原因で目はかなり内側によってしまい、斜視になる場合があります(調節性内斜視)。
3. 両眼視(りょうがんし)の異常
両眼視とは2つの目で見たものを脳で1つにまとめる働きのことです。両方の眼は約62mm(成人の場合)離れており、それぞれにわずかに違う像が映っています。この像のズレを脳が修正し、距離感・立体感を得ることを両眼視と呼びます。両眼視は生後1年くらいでできるようになり、6歳くらいには完成します。遺伝や脳の一部のわずかな異常が原因で、両眼視がうまくできない場合、それぞれの目がばらばらな方向を見るようになり、斜視になります。
4. 視力不良
病気やけがで、片方の目の視力が悪くなると、両眼視ができず、視力の悪い目が斜視になる場合があります。大抵の場合、その目は外側を向きます(外斜視)。
斜視の治療
原因が遠視の場合には、通常、凸レンズのめがねをかけて、遠視を矯正します。
視能訓練士により、斜視の生じている目の状態・角度の測定を行います。必要に応じて眼の動きの検査、両眼視の測定も行います。
定期的な診察および角度の測定により、経過を診させていただきます。
当院では、経過をフォローする上で、患者様ご家族のお気持ちを汲み取りつつ現在の段階での検査結果を細やかにご説明しながら、保護者様自身がお子様の状況を一緒に理解できるよう時間をかけて検査を行います。
斜視の角度が大きいものや(整容目的・眼精疲労軽減など)、視機能向上に支障が出ると判断される場合、脳・神経などの異常により急を要する場合などは、斜視手術が必要なこともあります。
当院では、斜視手術および訓練は実施していないため、斜視手術の検討が必要になれば、ご本人さま・ご家族さまのご希望などをお伺いした上で細やかに時間をかけて説明をさせていただき、医師の判断のもと、十分な相談を行った上で、専門の先生が手術をされている病院をご紹介いたします。
弱視について
Weak sight details弱視を知るためのポイント
視力の最も出る大事な場所は、眼球内の『中心窩(ちゅうしんか)』です。
この中心窩部分に、両眼同時に鮮明な像を映すことが大切です。
脳の視覚中枢は網膜上のピントの合った鮮明な像が刺激となって発達します。
子どもの視力の発達
1ヶ月
明るい方
を見る
3ヶ月
0.01
〜
0.02
6ヶ月
0.04
〜
0.08
1歳
0.2
〜
0.25
2歳
0.5
〜
0.6
3歳
1.0以上
(67%)
4歳
1.0以上
(71%)
5歳
1.0以上
(83%)
6歳
1.0
〜
1.2
視覚中枢は、生まれたばかりの赤ちゃんではほとんど働いておらず、視力は 0.03 ぐらいです。
大切なことは、視力は生まれてから育つということです。この視力の育つ大切な期間を感受性期間といいます。
網膜に映った像が刺激となり、生後5週間より感受性は高くなり、1歳 6ヵ月頃が最も強くなります。以降次第に弱まり、8~9 歳ころまで続きます。8歳を過ぎると完全に感受性を失うわけではありません。弱視の種類によっては、長いと12歳ころまで視機能の発達が続くとも言われています。
弱視の種類
1. 屈折異常弱視
度数自体が強いという事。かつ矯正されないままで過ごすと、ボヤケた不鮮明な映像しか眼に映らず、明瞭かつ鮮明な視覚刺激を得られないために、視力が伸びない=育ちません。
弱視の原因として、いちばん多いのは遠視です。それに対して近視では、遠くが見えにくいものの、近くにピントが合うため、弱視にはなりにくいです。ただし、極端に近視が強いと弱視になります。
2. 不同視弱視
遠視・近視・乱視に左右差が強いと、度数の強い方の眼の視力が育ちにくくなります。もう片方の眼の視力は正常に発達しているため、生活上に不自由はなく、周囲からは判りにくく、発見が遅れることもあります。
良い方の眼を中心に見ていると、度数が強い方の眼 (=悪い方の眼)にはボヤケた像が映り、使われなくなります。すると、視力の良い方の眼から悪い方の眼をより使わせないような力(抑制)が働きます。その結果、度数の強い眼(=悪い方の眼)は、映像自体は認識出来ますが、使われなくなることで視力が成長せず、弱視となります。
3. 斜視弱視
斜視とは、左右の眼の視線が違う方向を向いている状態をいいます。
斜視があると、斜視になっている眼の中心窩部分に映像刺激が伝わりません。視力に関わる細胞は、中心窩部分を中心に密集しています。この細胞は、周辺の網膜には 存在していません。斜視の眼は、中心窩以外の周辺網膜に映像刺激が投影されます。すると、中心窩部分を使う眼が優位となり、斜視の眼が使われなくなります。結果、斜視の眼が育たず弱視となります。
4. 形態覚遮断弱視
瞳が、瞼により隠れてしまう(先天眼瞼下垂)、長い間眼帯により眼を塞いでしまう、などの状態を乳幼児期に未治療のまま放置すると、映像刺激自体が眼の中に伝わらず、正常に「見る」という機能が育ちません。
検診の重要性;こどもの将来のために
斜視による弱視は、見た目にも分かるので発見しやすく、早期の治療が行われることが多いのです。
しかし、遠視 ・乱視による弱視は、見た目には出ないため、お子さまの普段の生活の様子からは視力が出にくいことを発見することが難しく、ご両親でも気づきにくいものです。
特に、片目だけの弱視では良い方の眼で何不自由なく生活を行えるため、発見がより遅れる場合があります。
治療の時機を逸して視力発達が終了してしまった後に、どんなに眼鏡で矯正しても、機能を育てることは難しく十分な視力は得られません。
お子さんの将来に多大な影響を与え、視力に一定の基準が必要な仕事に就くことが困難となり、車の免許も取れないという大きな障害を背負うことになるかもしれません。
そうならないためにも、乳幼児健診・3歳児健診は必ず受けてください。
検診で視力異常を指摘されたら、すぐに眼科を受診しましょう。
弱視の治療は、視力の検査 ・診断の可能な3歳から6歳ぐらいまでが改善を見込みやすいと言われています。
視力の成長は、他の成長と同じくいつかは止まり、臨界期(感受性期=10歳頃まで)を過ぎると治療に反応しにくくなります。
早く見つけて早期に治療を開始することが大切です。
こどもの斜視・弱視を
見つけるサイン
Sign
- まぶしがる
- 片目をつむることが多い
- どちらかの目を隠すといやがる
- パチパチまばたきが多い
- 頭をいつも同じ方に傾けて見る
- ぼーっとしている時や眠い時に視線が外にずれることがある
- 本を読む時に行を読み飛ばす
- 目を細めて見ている・近づかないと見えないと訴える
当院の斜視・弱視治療
Treatment点眼薬(サイプレジン;散瞳薬)を使用し、
眼本来の持つ度数を検出
医師の指示に基づき、治療用眼鏡の処方
眼鏡常用の有無を確認・定期的に視力検査
(概ね 1 ヵ月間隔)
弱視の治療の基本は、遠視 ・乱視(・強度近視)を矯正する眼鏡をかけることです。
眼鏡で矯正した状態で網膜にピントを合わせ、鮮明な像を脳の視覚中枢に送ることにより視機能の発達を促進します。
※視力向上の程度及び弱視の種類、年齢等に応じて、医師から指示があった場合にのみ、アイパッチや近方作業(作動)訓練などの治療を併用して行います。
当院では、経過をフォローする上で、患者様ご家族のお気持ちを汲み取りつつ現在の段階での検査結果を細やかにご説明しながら、保護者様自身がお子様の状況を一緒に理解できるよう時間をかけて検査を行います。
- 診断および継続的に必要な検査
- オートレフ検査:機械で遠視・近視・乱視の大まかな 度数を測定します。
視力検査:遠方/近方 斜視・両眼視検査(眼球運動・斜視の程度・両眼視)
※斜視検査については、必要に応じて行います。
斜視の角度が大きいものや(整容目的・眼精疲労軽減など)、視機能向上に支障が出ると判断される場合、脳・神経などの異常により急を要する場合などは、斜視手術が必要なこともあります。
当院では、斜視手術および訓練は実施していないため、斜視手術の検討が必要になれば、ご本人さま・ご家族さまのご希望などをお伺いした上で細やかに時間をかけて説明をさせていただき、十分な相談を行った上で、専門の先生が手術をされている病院をご紹介いたします。
紹介先病院としっかり情報共有し、当院でのフォローアップを行いますので、ご安心ください。